今回は、株式投資でポピュラーな各種指標について説明していきます。
指標を使うときに重要なのは、あくまで参考程度に留め、絶対視しないこと。
指標はあくまで指標に過ぎません。
特に、今回注目する指標はファンダメンタル分析による長期投資向けに使われます。
チャート分析(テクニカル分析)によるスイングトレードやデイトレードを手掛ける際には適していないので注意しておいてほしいと思います。
各種指標を理解して、株式投資に役立てて下さい。
目次
株価に関する指標
株価に関する2大指標PERとPBRについて説明していきます。
PER(Price Earnings Ratio)
PER(Price Earnings Ratio)は、「株価収益率」を示す指標だ。株価を1株当たりの利益で割って、割高か割安かを見るために使われます。
PERは、以下の式によって求められます。
PER = 株価 ÷ 1株当たりの利益(EPS)
例えば、株価が1,500円で1株当たり利益が100円なら、PERは1,500円÷100円=15倍。
一般的には、PERは14倍から20倍の間が適正であるとされています。
つまり、PERが20倍以上なら割高株となり14倍以下なら割安株と判断することができます。
ですが、これはあくまで一般論に過ぎません。
PERが20倍を超えて更に上昇し、100倍以上になるようなことは当たり前に起きています。
同様に、株価が下落してPERが14倍以下になっても更に暴落を続けることもザラにあるのです。
PBR(Price Book Ratio)
PBR(Price Book Ratio)は、「株価純資産倍率」を示す指標。
株価を1株当たりの純資産で割って、割高か割安かを見るために使われます。
PBRは、以下の式によって求められます。
PBR = 株価÷1株当たりの純資産
例えば、株価が1,500円で1株当たり純資産が1,000円なら、PBRは1,500円÷1,000円=1.5倍。
一般的には、PBRは1倍であるときに株価は企業の解散価値と等しいとされるため適正となります。
PBRが1倍であるときは、その企業が解散して全ての純資産を売却して得られるであろう資金が時価総額と等しいことになるのです。
つまり、PBRが1倍より高いと割高株となり1倍未満なら割安株と判断できます。
ですが、PERと同様これもあくまで一般論に過ぎません。
PBRが1倍を超えて上昇し、10倍以上になることもあります。
逆に、株価が下落し続けPBRが0.5倍を割り込んで中々戻らないこともザラ。
PER/PBRともに、あくまで一つの指標として捉えるという姿勢が大事。
PER/PBRの使い方としては、他業種銘柄と比較したり、同銘柄の過去の値と比べて割高/割安を判断するといった場面で有効です。
収益に関する指標
収益に関する3つの指標について説明していきます。
EPS(Earnings Per Share)は、「1株当たり当期純利益」を示す指標。
企業が1株あたりでいくらの利益を出しているかを示しており、前述したPERや後述するROEや配当性向の計算にも使われます。
EPSは、以下の式によって求められます。
EPS = 当期純利益 ÷ 普通株式の発行済株式数
例えば、当期純利益が200万円で、発行済株式数が1万株なら、EPSは200万円÷1万株=200円。
EPSの計算式を見れば分かるように、企業が株式分割をして発行済株式数が増えればEPSは下降します。
逆に、株式併合で発行済株式数が減ればEPSは上昇します。
ただ、株式分割・併合では、分割・併合に応じて価格も連動します(例えば、2倍に分割すると、株価は2分の1になる)。
そのため、株式分割・併合ではEPSは変動しますが、PERに変動は起こりません。
長期投資をするにあたってはPER・ROEの値を見ておけば十分であるため、EPS自体をチェックする必要はありません。
ただ、PER・ROEの計算に使われている指標であるということは覚えておくよういでしょう。
ROE(Return On Equity)
ROE(Return On Equity)は、「自己資本利益率」を示す指標。
株主の出資に対してどれだけの利益を生み出したかという、その企業の投資効率を見るために使われます。
ROEは、以下の式によって求められます。
ROE = 1株当たり利益(EPS) ÷ 1株当たり純資産
もしくは
ROE = 当期純利益 ÷ 自己資本(株主持分)
例えば、EPSが200円で1株当たり純資産が2,000円なら、ROEは200円÷2,000円=10%。
一般的には、ROEが15%以上あれば、投資効率が良い銘柄と見ることができます。
ただし、ROEの計算式には株価が入っていない点には注意が必要。
ROEは、PER・PBRと並んでファンダメンタル分析に使われる指標ですが、株価の割高・割安を示す指標としては使えないため注意しておきましょう。
ROEだけ見て投資しようとしても、既に株価が割高になっているということが起こりえるのです。
ROA(Return On Asset)
ROA(Return On Asset)は、「総資産利益率」を示す指標。
総資産に対してどれだけの利益を生み出したかを見るために使われています。
ROAは、以下の式によって求められます。
ROA = 当期純利益 ÷ 総資産
一般的には、ROAが5%以上あれば優良銘柄であると見ることができます。
ROAとROEとの違いは、ROAは負債を含む総資産を使ってどれだけの利益を生み出したのかを表すのに対して、ROEは自己資本(株主持分)を使ってどれだけの利益を生み出したのかを示しています。
株式投資においては、ROAよりもROEが注目されます。
配当に関する指標
配当に関する指標について説明していきます。
配当利回り
配当利回りとは、株価に対する年間配当金の割合を示す指標。
配当利回りは、以下の式によって求められます。
配当利回り = 1株当たりの年間配当金 ÷ 株価
例えば、配当金が年間30円、株価が1,000円なら、配当利回りは30円÷1,000円=3%。
配当利回りが3%を超える銘柄は「高配当銘柄」や「高配当株」と呼ばれます。
日本株では、JTや日産自動車、メガバンク株などが高配当株として知られています。
米国株では、世界最大のたばこ会社アルトリアグループやコカコーラなどが高配当株の代名詞となっています。
配当利回りは、配当金が増額される「増配」によって上昇し、配当金が減額される「減配」では下降し、配当金が廃止される「無配」では0になります。
また、株価が下落することによって、配当利回りは増加します。
株価が下落すればするほど配当利回りが良くなり金融商品としての魅力が増すため、配当利回りが高い銘柄には株価の下落を抑制する効果があるとされているのです。
配当性向
配当性向とは、純利益からの配当金の還元率を示す指標。
企業が出した利益の中から、株主に配当金としてどれだけ還元しているのかを示しています。
配当性向は、以下の式によって求められます。
配当性向 = 1株当たり年間配当金 ÷ 1株当たり利益(EPS)
例えば、配当金が年間30円、1株当たり利益が200円なら、配当性向は30円÷200円=15%。
配当性向が100%を超える銘柄も中にはありますが、それはつまり利益を企業投資に使わないということを意味するため、成長株に長期投資したい場合には良いことだとは言えません。
配当金が目的の高配当株投資をするにあたっては、配当性向ではなく配当利回りを見て行うことをおすすめします。
まとめ
今回ご紹介した指標はファンダメンタル分析による長期投資に適します。
テクニカル分析の短期投資には使えないので注意です。
これらの指標を使うときはあくまで参考程度に留めておき、絶対視しないことです。
各市場を理解し、明日からの株式投資にぜひお役立て下さい。
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