株式併合で銘柄に出る影響を徹底解説!

いよいよ期限まで残り1年を切りました。

売買単位の変更・100株への統一はいま最終段階を迎えており、企業への問い合わせが殺到するなど慌てている方も多いようです。

 

今回は売買単位の変更におけるメリットや株価への影響、注意点など、その背景も合わせて個人投資家が気になる疑問点を解説していきます。

 

カギとなる株式併合についても理解し、投資チャンスの備えておきましょう!

 

1.売買単位の変更で100株に統一の動き

株取引する際の売買単位が変更となり、今後100株に統一される2018年の10月までいよいよ最終調整を迎えています

1-1.2018年10月までに実施される

全国の証券取引所が進めてきた売買単位の変更まで1年余り

2007年11月に「売買単位の集約に向けた行動計画」の公表からすでに進められており、これまで投資家への周知を図ってきました。

 

売買単位の変更予定日が迫り、この数ヶ月だけでも500社以上の上場企業が対応に急ぐなど駆け込みラッシュが起きています。

 

すでに9割超の企業が完了しているということで、これまで1単元1,000株だった銘柄の多くが100株へと変更済み。

 

各企業には株主から優待や配当に関する問い合わせが相次いでいるようですが、保有資産の価値に変わりはありません

 

この取り組みによって個人投資家の増加が見込まれており、少額投資を対象に手数料を下げる動きが証券会社の間で広まるなど業界の期待は高まっています。

 

100株単位で取引できるようになった銘柄へは、既に資金流入の増加が見られているようです。

1-2.売買単位を変更する目的

全国証券取引所による売買単位の変更・100株に統一する動きは、投資家が分かりやすく売買しやすい市場を目指すことを目的としています。

 

近年個人投資家の重要性が高まっているため、購入の際に最低金額を計算したり迷う心配などが払拭されるのです。

 

かつて日本は1株から2,000株まで8種類もの売買単位が存在しており、これが利便性の低下に繋がっていると考えられるようになりました。

 

ここまで多いのは世界的に見ても少なく、投資家の混乱を招いてしまうため、長い年月をかけて100株と1,000株だけに集約されてきた経緯があります。

 

2017年だけで500社以上もの銘柄が売買単位の変更を行っており、そのほとんどが同時に株式併合を実施しています。

 

株価への影響のカギを握る「株式併合」については次で解説していきます。

 2.売買単位の変更で考えられる3つのケース

 

売買単位の変更によって最低購入金額は10分の1になることも考えられますが、実際にどのような影響があるのか見ていきましょう。

2-1.売買単位の変更のみ行う場合

売買単位が増加するのか、減少するかの2パターンに分類されます。

売買単位増加の場合

売買単位が1株や10株から100株に変更される銘柄が該当しますが、現在このケースは全て100株への変更を終えていますので簡単に説明します。

売買単位が増加することで最低投資金額は単純に10倍、100倍となるため、少額投資家の層を取り込めなくなることが懸念されるでしょう。

売買単位減少の場合

売買単位が1,000株から100株変更される銘柄が該当します。

この場合、最低投資金額は単純に10分の1となるため、1単元が高く手が出せなかった投資家を取り込むことができます。

例えば、1単元1,000株で株価500円の銘柄に投資するのに50万円必要ですが、100株に変更することで5万円から投資が可能。

その結果、取引量(出来高)が増加することで流動性が高まり、株価にプラスの効果が期待できます。

2-2.売買単位の変更+株式分割を行う場合

売買単位の変更と同時に株式分割を行うケースは、最低単位が100株となった現在ほほとんど見られませんが簡単に説明していきます。

売買単位の増加と株式分割の割合が同じ場合
売買単位が1株もしくは10株の銘柄が100株に変更される際、同時に同じ割合で株式分割することで、売買単位変更後も最低購入金額に影響を与えない措置。
100株になることで売買単位が10倍もしくは100倍となっても、株式分割で1株あたりを10分の1もしくは100分の1にします。
売買単位の増加と株式分割の割合が異なる場合

売買単位が1株もしくは10株の銘柄が100株に変更される際、同時に実施する株式分割の割合の方が大きい場合は最低購入金額を下げることができます。

売買単位が1株もしくは10株の銘柄が100株に変更される際、同時に実施する株式分割の割合の方が小さい場合は最低購入金額が上がります。

このケースは、もともと超低位株と呼ばれる株価100円以下の銘柄で実施されるような措置なので、マイナスの影響は少ないと考えられます。

2-3.売買単位の変更+株式併合を行う場合

売買単位の変更と同時に株式併合を行うケースは、2017年12月現在、まだ100株単位でない200社近くの企業で今後実施されていく予定です。

出所:日本取引所グループ「売買単位の集約進捗状況」(2017年12月07日)

大いに投資チャンスが伺えますので把握しておきましょう。

売買単位の減少と株式分割の割合が同じ場合

売買単位が1,000株から100株に変更される際、同時に同じ割合で株式併合することで、売買単位変更後も最低購入金額に影響を与えない措置。

100株になることで売買単位がこれまでの10分の1となっても、株式併合(10株→1株)によって1株あたりを10倍にします。

この場合は単純に株価が10倍になるため、急騰していると勘違いしてしまわないよう注意が必要です。

売買単位の減少と株式分割の割合が異なる場合

売買単位が1,000株から100株に変更される際、同時に実施する株式併合の割合が小さい場合は最低購入金額を下げることができます。

例えば5株から1株への株式併合が行われた場合、売買単位が10倍になる一方で株価は5倍にしかならなず、この場合に必要な資金は従来の2分の1となるのです。

売買単位が1,000株から100株に変更される際、同時に実施する株式併合の割合が大きい場合は最低購入金額が上がります

 

例えば20株から1株への株式併合が行われた場合、売買単位が10倍になる一方で株価は20倍に跳ね上がり、必要な資金は従来の2倍へと膨れ上がります。

株式併合と株式分割どちらの場合も、最低投資金は低くなるほど新規資金を取り込みやすくなるため売買単位の変更後はこのように調整するという流れです。

3.売買単位変更で低位株は減る?影響と注意点

全国証券取引所は売買単位の変更・100株統一への取り組みと同時に、望ましい投資単位を5万円から50万円と推奨しています

 

売買単位を100株にするだけでなく、個人投資家へよりインパクトを与えるために投資しやすい株価水準への変更も行われているのです。

 

しかし、今後1,000株から100株への変更のみが残されていますので、同時に実施されるであろう株式併合により、低位株は減少すると考えられます

 

1単元あたりの株数は減少し、株価は上昇する』と理解しておきましょう。

最低投資金額の水準が上昇してしまわないように企業側も調整していますので、そこまで心配することは無さそうです。

 

売買単位変更の動きによって注意したい点は2つ

株式併合によって株価が大きく変動してしまうケースがあるということ。

そして、もうひとつは単元未満株が発生する可能性です。

 

売買単位を1,000株から100株に変更する際、例えば株式併合を4株から1株へ行った場合に持ち株が4分の1の250株となり、50株の単元未満株が出てきます。

 

売買ができないこの50株は企業が買い取るケースがほとんどですので、株式併合を控えている銘柄をお持ちの方はIR情報などをご確認下さい。

 4.まとめ

売買単位の変更は2017年の後半から駆け込みピークを迎えていますが、それでもまだ200社近くの企業が残されています。

 

同時に行われる株式併合が株価にどのような影響を与えるのか、注意点なども踏まえておくと慌てずに済みます

 

今回の取り組みは個人投資家にとってプラス効果が高いと言えますので、流動性の向上が期待できるこの機会を投資チャンスに変えてしまいましょう。