半導体関連銘柄。今後は「IoT」が鍵に!

今回は、世界的にバブルとなりつつある「半導体関連銘柄」についてピックアップします。

半導体というと、米半導体大手のエヌビディア(NVIDIA)の成長が減速し、株価も大きく下げ、エルピーダメモリの破綻や東芝メモリの売却など日本企業の苦戦もニュースで伝えられています。

しかし、半導体製造装置やシリコンウエハーなどの分野では日本企業が圧倒的なシェアを誇っていることや、IoTでの需要が世界で伸びていることもあり、今後の動向には引き続き注目が集まります。

半導体関連セクターの注目度は今後どうなっていくのか、2019年の注目ポイントを見ていきましょう。

 

1.過去の半導体関連銘柄の動向

まずは、2018年以前の半導体関連銘柄の動向を振り返っておきましょう。

1-1.半導体の2018年以前の動向

半導体は、携帯電話やパソコン、家電製品など、日常生活のありとあらゆる電子機器に使われている現代社会になくてはならない電子部品です。

かつて、半導体は日本のお家芸とも言える分野でしたが、近年は韓国や台湾の企業の台頭によって日本企業は苦戦しています。

とはいえ、半導体メモリの分野では日本企業は苦戦していますが、半導体製造装置の世界シェアは日本企業だけで約4割を占めており、半導体に必要なシリコンウエハーでも日本企業の世界シェアは6割に上ります。

あらゆるモノがインターネットに繋がるIoT化の進展によって、世界の半導体市場は2017年に史上初めて4,000億ドルの大台を突破しました。

特に、半導体メモリは2017年には前年比+61.5%という驚異的な伸び率となっており、DRAMとNANDが市場を牽引しています。

2017年には半導体バブルを背景に、多くの半導体関連銘柄が大きな上昇を遂げました。

社会のIoT化は今後も続くことが確実であることから、半導体製造装置やシリコンウエハー、パワー半導体などを手掛ける半導体関連銘柄には注目が集まります。

1-2.過去に急騰した半導体関連銘柄

半導体事業を手掛けるには多額の設備投資が必要であるため、半導体関連銘柄には新興銘柄はほとんどなく、東証の大型銘柄が中心になってきます。

このため半導体関連銘柄には低位株から急騰したような銘柄はなく、長い時間を掛けて大きな上昇を遂げている銘柄が多くなっています

半導体関連銘柄は、アベノミクスが始まった2012年末から2017年までの5年間で大きな値上がりとなった銘柄が多いですが、特に2016年から2017年に掛けての2年間は一段高となりました。

半導体製造装置の世界シェア4位の【8035】東京エレクトロンは、半導体関連銘柄を代表する銘柄です。

 

同社の株価は、アベノミクスが始まった2012年12月には3,935円を付けていましたが、好調な半導体市場を背景に買われ、2017年12月には20,400円まで上昇しました。この5年間で5倍以上の上昇になっています。

この他にも、シリコンウエハー世界2位の【3436】SUMCOや半導体素材の加工というニッチ分野に強みを持つ【6146】ディスコなど多くの半導体関連銘柄が、この5年間で同様の値上がりとなっています。

 

2.半導体関連セクター2018を振り返る

続いては、2018年の半導体関連ニュースを抑えておきましょう。

2-1.2018年の半導体の動向

市場調査会社のアメリカGartner社は、2018年の世界の半導体市場は前年比+13.4%の4,767億ドルになったと発表しました。

半導体メモリが市場全体を牽引していますが、やや成長率に陰りが見え始めていることが懸念されています。

2018年の日本企業の半導体関連ニュースとしては、NANDフラッシュ型メモリで世界2位と日本の半導体メーカーとしては唯一奮闘していた東芝が、2018年6月に東芝メモリを売却したことが挙げられます。

東芝が東芝メモリを売却したことによって、世界の半導体トップ10企業から日本企業が消滅……。かつて日本製半導体が世界シェア50%を占めていた時代からすると残念な限りです。

2018年の半導体市場は過去最高を更新しましたが、株式市場においては半導体関連銘柄は調整局面入りとなっています。

2018年は米中貿易摩擦の影響で多くの銘柄が軒並み下落しましたが、半導体関連銘柄は2016年から2017年に掛けて大きく買われた反動もあり、2018年に最も売られたセクターとなっています。【8035】東京エレクトロンはこの1年間で約半値にまで暴落【3436】SUMCOは1月に3,345円の高値を付けたものの12月末には1,227円にまで暴落しています。

 

 2-2.半導体に力を入れている企業をピックアップ!

東証を代表する半導体関連銘柄を見ていきましょう。

日本企業が強みを持つ半導体製造装置では、日本勢ではトップとなる世界シェア4位の【8035】東京エレクトロンの他、DRAM用半導体試験装置世界トップの【6857】アドバンテストやウエハー洗浄装置で世界トップの【7735】スクリーンホールディングスなどにも注目です。

半導体の研削・切断・研磨装置というニッチ分野で世界シェアトップの【6146】ディスコや、ウエハー自動搬送システムに強みを持つ【6383】ダイフクも、半導体製造装置関連銘柄として注目です。

同じく日本企業が強みを持つシリコンウエハー関連では、【4063】信越化学工業の子会社である信越半導体が世界トップ、【3436】SUMCOが世界第2位となっています。

信越化学工業は半導体関連で買われることは少なく、マーケットではSUMCOに注目が集まります。

半導体やパワー半導体の分野では半導体大手の【6723】ルネサスエレクトロニクスにも期待です。

また、東芝メモリを売却したとはいえ【6502】東芝も半導体関連銘柄としては欠かせません。東芝メモリは東芝の完全子会社ではなくなったものの、東芝が40%の株式を保有しており(筆頭株主2位)、東芝と東芝メモリの半導体メモリの売上高を合算すると世界7位となっています。

 

3.半導体関連セクターの未来

最後に、2019年の半導体関連の注目ポイントを抑えておきましょう。

3-1.2019年の半導体関連銘柄注目ポイント!

IoT社会の進展によって半導体の需要は今後も右肩上がりに続くものと見られ、2019年も半導体市場は過去最高を更新すると予測されています。

とはいえ、半導体市場を牽引してきたメモリの成長率は大きく鈍化しており、2019年には半導体メモリはマイナス成長になるとの予測もされています。

株式市場では、半導体関連銘柄は2016年から2017年に掛けて大きく上昇した反動もあり、2018年には最も売られた最弱セクターとなりました。

世界でも同様で、米半導体大手のエヌビディア(NVIDIA)は成長が減速、株価、時価総額も大きく下げるなど、2018年後半には大きく売られました。

2019年は、半導体セクターへの売りが止まるかどうかに注目が集まります。

半導体市場そのものは好調であり、IoT社会の進展から半導体需要も堅いと見られるため、売りが止まったら、半導体セクターは大きく反発する可能性が高いと見られます。

しかし、米中貿易摩擦が世界経済の先行きに影を落としていることから、楽観視はできない状況です。

この2年間、半導体市場を牽引してきた半導体メモリバブルが終焉するとの見方が大勢となっており、半導体関連銘柄は更なる一段安となってもおかしくはありません。

3-2.注目の半導体銘柄

2019年も引き続き注目しておきたい、半導体関連銘柄を数銘柄ピックアップしました。今後の動向に期待したいところです。

銘柄 株価 主なサービス
【3436】SUMCO 1,502円 シリコンウエハー世界2位。
【6146】ディスコ 15,570円 半導体製造装置。半導体の研削切断研磨装置でトップシェア。
【6857】アドバンテスト 2,292円 半導体製造装置。DRAM用半導体試験装置でトップシェア。
【7735】スクリーンホールディングス 5,170円 半導体製造装置。ウエハー洗浄装置でトップシェア。
【8035】東京エレクトロン 15,300円 半導体製造装置世界4位。

※株価は2019年1月30日終値で算出

 

4.まとめ

半導体関連銘柄は、2016年と2017年には半導体バブルを背景に最も買われたセクターとなっていましたが、2018年は一転して最も売られたセクターになってしまいました。

2019年には2018年に売られた反動から大きく買われることも考えられますが、半導体メモリのバブル崩壊も囁かれていることから、一段安となる可能性も十分に考えられます。

ただ、半導体はIoT化の加速によって今後も需要は続くことが確実であるため、引き続き動向は見逃せません。

このため、半導体関連銘柄を手掛ける際は、リスク管理をしっかりした上で物色するようにした方がいいと言えます。