資産運用には様々な方法がありますが、中でも知名度が高いのが「株」と「FX」でしょう。
両者を比較して「どちらが儲かるか」といった記事やサイトを皆さんもよく目にすると思います。
いずれも大きな投資リターンを獲得出来るチャンスであり、大変魅力的な運用先という点で差はありません。
但し、株とFXにはそれぞれに特徴があります。
双方のメリット・デメリットをしっかりと理解した上で、どのような選択をするべきかを検討する必要があるでしょう。
今回は、株とFXそれぞれのメリット・デメリットやリスクについてご紹介したいと思います。
目次
株式投資とFXの違い
株式投資とFXの主な違いは、投資対象・取引時間・リターンの中身です。
株式投資とは
株式投資とは、企業が発行する株式を購入することです。
日本の場合、主に上場している3,600社以上の株式が投資対象であり、取引時間は平日の午前9:00~11:30・午後の12:30~15:00までとなっています。
株式投資によって得られるリターンは大きく2つに分類されます。
株価の値上がりによって獲得出来るキャピタルゲインと、配当金などによるインカムゲインです。
例えば、1株1,000円で100株購入した株式(投資金額は10万円)が1,200円に値上がりした場合、20,000円のキャピタルゲインを獲得します。
また、その企業が年間30円の配当金(30円×100株=3,000円)を出していればそれがインカムゲインとなり、キャピタルゲインと合わせて23,000円のリターンを得ることが出来ます。
FXとは
FXとは「Foreign Exchange」の略で、日本語では「外国為替証拠金取引」と呼ばれています。
投資対象は各国の通貨であり、取引時間は24時間行うことが出来ます。
FXによって得られるリターンも大きく2つに分類されます。
1.通貨間の価格変動による売買差益
1つは株価同様、通貨間の価格変動による売買差益です。
1ドル100円で購入した米国ドルが円安に振れて1ドル120円の時に売却した場合、20円の売買差益を獲得出来ます。
2.スワップポイント
もう1つのリターンは、スワップポイントと呼ばれるものです。
日本円の金利と米国ドルの金利は後者の方が高いのが現状であるため、取引する2つの通貨の金利差から発生します。
例えば、仮に日本円が年金利0.05%、米国ドルが3%とします。
投資額が10万円で1年間運用した場合、10万円×金利差2.95%で2,950円のリターンとなります。
スワップポイントは投資期間に応じて金額が変化しますが、日割単位で計算されるため日々加算されていきます。
株式の配当金は企業によって決められたタイミングにしか獲得出来ませんので、スワップポイントの方が獲得機会が多いと言えるでしょう。
株式投資のメリット・デメリットとリスクについて
株式投資のメリット・デメリットとリスクを把握しておきましょう。
メリット
株式投資の最大の魅力は売買差益の大きさです。
株価には値幅制限が設けられており、1日に変化する株価の値幅は制限されていますが、それでも為替に比べると大きな変動率です。
日々の値上がり率ランキングには、1日に20%を超える上昇率を記録する株式が日常的に見られます。
そのため、短期間で株価が倍になったという事例も少なくないのです。
つまり、10万円をある株式に投資し、短期間で倍の20万円となり、10万円の売買差益を獲得することが出来るのです。
デメリット
一方で、株式購入には必要な元手の金額が大きくなる、という点がデメリットとして挙げられます。
株式には株式購入時の最小単位である「単元株数」という仕組みがあります。
これは企業によって異なりますが、最低100株としている企業が大半です。
例えば「ユニクロ」を展開するファーストリテイリング【9983】の直近株価は47,700円前後で推移していますが、この株式の単元株数は100株です。
最小単位の100株だけ購入しようとしても、477万円の元手が必要となります。
これはかなり大きな金額です。
証券会社によっては「株式ミニ投資」という単元株数の10分の1の単位から購入出来るサービスもありますが、投資対象の数や購入のタイミングなどで制限を受けてしまいます。
通常の株式投資を行おうとすると、投資する企業によっては大きな元手が必要となるのです。
株のリスク
株式投資のリスクは、主に2点あります。
1.大きな損失を抱える可能性
1つは、株式投資は大きなリターンを獲得出来る反面、大きな損失を抱える可能性がある点です。
為替の場合、政府の経済政策や金融政策と密接に関連しているため、急激な変動に対し政府が介入することによって動きが緩和されることがあります。
一方株式の場合は、誰もその変動を止めてくれません。
よっぽどのことが無い限り、株価が永遠に下がり続ける可能性は低いものの、損失が拡大し続けるリスクについては認識しておく必要があるでしょう。
2.流動性のリスク
もう1つのリスクは、株式の流動性です。
流動性とは言わば「取引量の多さ」ですが、株式の購入は売却する側がいて初めて成立します。その逆も然りです。
ある企業の株式を購入したい時、取引量が多ければ売り手も多く存在することになりますので、「買いたい時に買える」可能性が高いでしょう。
一方で、取引量が少ない企業の株式は、買い手が少ないために売りたいときに売れない可能性があります。
流動性が低いと中々株式を売ることが出来ず損失が膨らんでいく、という状況が考えられるのです。
知名度の高い企業の場合は比較的流動性が高いためそのような不安は小さいですが、知名度も低く時価総額が小さいような企業に投資をする場合は、流動性に注意が必要と言えるでしょう。
FXのメリット・デメリットとリスクについて
FXのメリット・デメリットとリスクを把握しておきましょう。
メリット
FXのメリットは、主に3点あります。
1.スワップポイント
株式の配当金は、企業側が決定したタイミング(年間1~2回)でしか貰うことが出来ませんが、スワップポイントは日割りで獲得することが出来ます。
そのため保有期間に連動したリターンを得ることが出来ます。
2.安定した価格
2つ目のメリットは、価格の安定感です。
株式は日々のニュースや企業からのリリースによって大きく変動する可能性があります。
それは大きなリターンを生む可能性がある一方で、大きな損失を生むリスクを孕んでいます。
一方為替は、株式に比べると安定しています。
各国の経済政策や金融政策との関連が密接であることから、政府や中央銀行による政策的な下支えがこれまでも行われてきました。
株式投資ほど大きな売買差益を稼ぐことは出来ませんが、地道にリターンを積み上げることが出来るでしょう。
3.いつでも取引可能
3つ目のメリットは、24時間取引が可能であること。
株式投資の取引時間は日中で終わってしまうため、会社勤めのサラリーマンの方々は取引時間内に機動的な売買を行うことが難しいといえるでしょう。
一方FXは、そうした制約が無く、好きな時間に好きな場所で取引に参加出来ます。
本業が忙しい方でも気軽に取引出来る点は大きなメリットです。
デメリット
FXのデメリットは、株価に比べて先行きの見通しが立ちにくいという点です。
為替レートの変動は政策金利の動向や経済指標によって影響を受けます。
これらの要素から大きな方向感を予想していくこととなります。
例えば、「米国はここ1年ほど利上げを進めていますので、今後もその可能性があるからドル高になるだろう」といった具合です。
但し、政策の方向感などが明確な場合は予想が立てやすいのですが、そうでない時は不透明感が高まります。
そうした局面では、政府要人の発言で一喜一憂するような為替相場になることがあります。
ある国の中央銀行総裁が金融引き締めを匂わせるような発言をすれば、それが真意か否かに関わらず為替は通貨高に動いたりします。
政府要人の発言は突発的で、プロの為替アナリストですら予想が外れることがありますので、動きを読みにくい点はデメリットと言えるでしょう。
一方、株式の場合は企業業績に連動する部分が大きく、比較的経済環境やそれまでの四半期決算から動向も見通し易い傾向があります。
もちろん株価も為替変動に影響を受けますので、不透明さを抱えていることは事実ですが、大きな方向感を見通すという点では、株式の方が容易でしょう。
FXのリスク
FXでは、自らが保有する資金力以上に取引を行うことが出来ます。
これをレバレッジと呼びます。
レバレッジは、予め取引会社に証拠金を納めることで、その何倍もの大きな金額で取引することが可能となり、少ない元手からでも大きなリターンを獲得することが出来るというFXの利点です。
一方で、予想と逆に為替レートが変動した場合、損失もそれだけ大きくなります。
取引会社には、損失が過大になり過ぎないよう損失が一定水準を超えると「ロスカット」と呼ばれる措置が用意されています。
身の丈以上の金額を動かすことのリスクを認識しておく必要があるでしょう。
まとめ
株とFXは、いずれも魅力的な投資対象です。
そして、それぞれにメリット・デメリット・リスクが存在しますので、それらをしっかりと認識した上で投資を行うことが重要です。
「どちらが儲かるか」ということだけに目を奪われず、ご自身の資産形成に「どの投資先が最適か」といった観点で検討してみては如何でしょうか。
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